簿記2級を独学で合格した話

簿記2級は事務系で最も人気の検定ですが、スクールか独学か迷っている方が多いのではないでしょうか?簿記2級は働きながらの独学でも決して不可能な検定ではありません。実際、商業高校生が受かる検定ですから、計画的に進めればほとんどの人がちゃんと受かります。なので、今回は実際に独学した時の経験を書いてみようと思います。

簿記2級とは何か?

簿記2級は企業の家計簿を勉強する検定です。費目や仕分けのルールがメインです。また、経理ソフトの使い方や借入金が適正なボリュームか、節税方法はどれか、などのテクニック的要素は一切ありません。詳細は他サイトに譲りますが、学習内容とキーワードの一部を記載すると下記のようになります。

科目キーワード
商業簿記伝票と仕分け、貸借対照表、損益計算書、決算表、現金出納帳、手形、減価償却、資産、商品売買、有価証券、社債、引当金、帳簿組織
工業簿記製造原価報告書、損益分岐点、工場会計、材料費、労務費、経費、平均原価法

本当に役に立つのか?

この疑問を感じる人は多いと思いますので、ここでちゃんと触れておきます。

直接のメリットが大きい人

  • 就活生(特に経理部門を目指す方)
  • 若手社会人(30代前半まで)

まず、何と言っても就活生。新卒時に簿記2級を持っていれば経理配属を希望しやすいです。実際に、私が新卒で入った会社では簿記3級を持っていた同期が経理に配属されました。また、簿記そのものが社会人の教養ですから内定率も高まるようです。既に社会人の方で「今さら簿記2級なんて」とか「経理じゃないし」という方でも、20代で取得すれば未経験でも転職可能な場合もありますし、配置換えも希望しやすくなります。また、営業、開発、総務、生産技術などいろいろな部門がありますが、企業の活動とお金の動きを意識して仕事することは重要です。直接関係ない部署の費目の存在を知ることで視野が広くなります。

メリットが少ない人

  • 中堅以上の社会人
  • 主婦

中堅以上の社会人はおそらく知っていることを確認する作業になると思われます。会社で日常的に話していることを整理するような勉強になる可能性が高いです。また、主婦の方も意味がありません。はっきり言って、「簿記2級があるから経理で再就職」などは困難です。(税理士事務所のパート程度はあるでしょうが)

独学について

冒頭でも書きましたが、独学か、スクールか、通信かで迷っている方がたくさんいると思います。私は社会人であれば独学が断然おすすめです。理由は4つです。

  • 費用が安い
  • 自分のペースで進められる
  • わからなければ会社で経理の知り合いに聞けばいい
  • 解説している無料動画がたくさんある

社会人は仕事がありますから、自分のペースで空き時間をやりくりするのが最も効率的な学習スケジュールです。スクールに通うと通学時間・費用を捻出しなければならないので、逆にコストがかさむ可能性すらあります。一部の方がアフィリエイト報酬欲しさにスクールを推しているサイトを見ますが、この程度の学習に5万円はもったいないですね。教科書を読む力さえあれば自宅学習できると思います。

とは言っても、学生など一般企業を経験していない人や何が何でも絶対に受かりたい人はスクールや通信を使いたいかもしれませんね。その場合は、金券ショップやフリマアプリで受講料割引券が売られています。通信やスクールを利用する際は活用すると良いと思います。

学習コストと合格率

 3級2級
学習時間70時間
(1〜2ヶ月)
250時間
(3〜4ヶ月)
教材費問題集・テキスト
計2冊で
2,000円〜
問題集・テキスト・過去問
計5冊程度で
8,000円〜
受験料2,850円
+事務手数料550円
4,720円
+事務手数料550円
合格率50%前後25%前後

スケジュール的には平日1〜2時間、週末は4〜5時間のイメージですね。

独学で使うテキストとアイテム

テキストは本で

大手出版社であればどれでも良いです。商業簿記(テキストと問題集)・工業簿記(テキストと問題集)・過去問の3セットで全て満点を取れるようになれば合格できます。

電卓

実はめちゃくちゃ大切な電卓。10cmx15cm程度の少し大きめで押しやすく見やすいものを買うと良いです。手のひらサイズ電卓は安いですが、学習ストレスが大きいです。

独学のコツ

初学者であれば3級から始めれば良いと思います。不慣れなうちに2級を目指して挫折するよりは、3級で一旦区切りをつけて2級にチャレンジすれば良いと思います。それでも追加費用は受験料とテキスト代のみです。学習のコツは特にありません。数学の受験勉強のように手でガシガシ書いて、電卓を叩きまくるのが一番近道の勉強方法です。独学で絶対やめてほしいことが2つあります。

  • ノートまとめる作業
  • 消しゴムで消しまくる作業

本当に時間の無駄です。自分なりの考えはテキストに書き込むか付箋を貼っていくことを強くお勧めします。また、消しゴムで消す作業も出来るだけ減らした方が楽なので、基本問題はボールペンを使い、過去問になったらシャープペンシルと消しゴムを使うと良いと思います。(もちろんノートや仕訳帳などにボールペンで書いてくださいね。)この方法で学習するのにオススメなのが次の100均一アイテムです。

100均の便利なアイテム

意外とストレスが溜まるのが〇〇帳の穴埋め。ノートに線を引いて書くのは、一箇所でも列と行を間違うと全く違う計算になってしまいます。ただの計算ミス・記入ミスを探すために意外と時間がかかります。そんなときは100円ショップの仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳を利用するのがオススメです。問題集のコピペでも構いませんが、ぜんぶ揃えてもたかだか数千円程度です。ぜひ活用してください。

独学してどうだったか?

私は実際に収入は増えませんでした。それでも簿記を勉強して良かったと思います。日常の仕事やニュースを深く理解できるようになったからです。「これが自己啓発だな」と実感できる資格でした。

まとめ

一部、簿記2級は意味がない、という方がいますが価値を勘違いしていると思われます。簿記という科目を考えればわかりますが、企業の帳簿を学ぶのですから社会人としての教養です。なので、簿記は若いほど就活や転職を有利に進められるし、社会人経験が長くなれば自分に関係する部分は自然と身につくはずなのです。簿記2級で資格取得奨励金・報奨金が出たりする企業もありますから、お小遣い目当てに勉強するのも良さそうです。また、日常的の経済ニュースに敏感になりますから、投資をはじめる前に勉強するのもおすすめです。

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