最近、読書感想文のテンプレがネット記事に上がっていました。私も読書感想文が苦手だったクチなので、ちょっとググってみましたところ色々な書き方を紹介したのHPを見つけました。なんだかやってみたくなったので、過去に書いた読書録をテンプレに従って読書感想文らしい体裁に書きなおしてみました。
準備をしよう
使った本は守り人シリーズ
まずは本が無くては始まらないと言うことで、一応、本の情報を載せておくとこんな感じです。
- 題名:精霊の守り人
- 著者:上橋菜穂子
- 出版:新潮文庫 うー18ー2
好きなセリフ
次に、印象に残ったセリフや場面をチェック。とにかく引っかかったところに付箋を貼っていきました。
p.40: バルサ
「ーこれは、あまりに卑怯な仕打ちでしょう。」
p.189: トロガイ
「国やしゃべる言葉がちがう人は別の考えを持っとることは知ってるか?」
p.245: バルサ
「この世に、公平なんて、もとからありゃしないのさ。」
p.246: ジグロ
「いいかげんに、人生を勘定するのはやめようぜ。ー不幸がいくら、幸福がいくらあった。過ぎてきた日々を勘定したらむなしいだけだ。」
p.342: バルサ
「だれしもが、自分らしいもがき方で生き抜いていく。
まったく後悔のない生き方など、きっと、ありはしないのだ。」
使ったテンプレはこちら
このテンプレに従って深く考えずに穴埋めしていきました。
実際に書いてみた
できた感想文はこちら
私は本を読むことがあまり好きではないので、日頃は本を読みません。だから、読書感想文の宿題が出た際は、「今年もか」と大きな荷物を背負ったような気分になりました。せっかくなのであまり読んだことがないファンタジーを読みたいと思い、書店へ行きました。すると「精霊の守り人」という本がありました。この表紙やタイトルを見てとてもワクワクした気持ちになりました。読むのを楽しみにしながら家に帰って、すぐに読み始めました。
この本には「バルサ」という主人公が出てきます。この人は用心棒をしています。きっかけは王族の暗殺に関わった実父が、軍人の養父にバルサを逃がすように頼み、その養父に育てられたからです。その後、養父は亡くなり、鍛えられた力で用心棒として生きるようになりました。用心棒として生きる中で、異世界の生物の卵を産み付けられた幼い皇太子の「チャグム」と出会います。その幼いチャグムを育てるように守っていくバルサのお話です。
私が印象に残ったセリフや場面が3つあります。
まず、一つ目にバルサが皇妃からの依頼に対して、「ーこれは、あまりに卑怯な仕打ちでしょう。」と率直に批判的な言葉を口にしたことです。貴人からの依頼が絶対命令である世界で、主人公がこの言葉を口にすることはとても勇気がいることだったのではないでしょうか。その上で、バルサは断っても死ぬのだから、正直に言うという結論に達したのだと思います。私は主人公の発言に対して衝撃を受けましたが私は主人公のようにはなりたくないです。
というのも、このような率直な物言いは一時的にはスカッとしますが、何をしたら怒るのかということを相手に伝えることになり、後の人間関係にネガティブな影響を与えると思うからです。
二つ目に、チャグムが皇子であることや卵を産み付けられたことの窮屈さなどから苛立ちまぎれにバルサに突っかかる場面が気になりました。自分の意思に反して動いていく自分をとりまく大きな流れ、つまり、環境の変化に精神が追いつかないことを表現した場面だと思います。私が思春期だった頃を思い出します。部活もテストも頑張らなくちゃいけない。部活の人間関係もうまく切り抜けていきたいのに、思った通りに伝わらないことがあります。そして、部内で孤立していたこともありました。学力や人間関係など少しずつ自分が置かれている環境が理解でき始めると同時に色々な面で壁を感じるようになりました。
三つ目に、バルサの「この世に、公平なんて、もとからありゃしないのさ。」と、養父の「いいかげんに、人生を勘定するのはやめようぜ。ー不幸がいくら、幸福がいくらあった。過ぎてきた日々を勘定したらむなしいだけだ。」というセリフです。主人公のバルサは大人の女性で、非常に賢明で勇気もあります。生きる知恵、経験、体力、人徳など多くを兼ね備えた超人のようです。そんなバルサにも手に負えない自然や社会のルール、知らない事が多く存在する様子が次々と描かれています。想像すると世界は広く、自分でコントロールできる範囲など非常に狭いものだと感じました。
この本のクライマックスではチャグムが異世界の卵を孵化させると同時に、バルサが異世界の怪獣を倒します。その結果、庇護されるべき子供であったチャグムが様々な経験を通じて、葛藤する思春期を超えて、他者(ここで言う国)を守る青年への一歩を踏み出したように想像しました。
この本を読む前は精霊の守り人というのが、神のような絶対的存在の精霊と掟のようなもの守る人物のストーリーだと思っていました。しかし、読み終えてみて神というよりは目に見えない存在との共存こそが日々の生活を守るというストーリーだと考えるようになりました。
またこの本を通して、日々の暮らしを丁寧に生きることや、時に襲いかかる不条理に対してももがき続けるという小さな選択の積み重ねが今につながると再認識しました。今回学んだ日々の生活を大切にするということや読書の楽しさを今後に活かしていきたいです。
出来た作文の状態
- 字数: 約1,500字
- 内容: 不自然な流れがある
- 所要時間: 半日(書くだけ)
まとめ: テンプレ最高!
この結果を見ると、字数的には改行や段落による空白もあるので、ちょこちょこっと修正すれば2,000字まですぐに到達できそうです。とにかく提出できる体裁まで完成させるには、読む時間以外に1日あれば十分だと思います。
私は読書感想文が大嫌いでした。何を書けば良いのか分からなかったから。子供の頃は文章を書くどころか、本を読む習慣さえなかったですし、「感想」という言葉を正面から受け止めていました。「おもしろかった」「つまらなかった」以外に何があるんだろう?っていうタイプです。(正直、今でも感想ってそれ以外ある?って思ってますが) でも、この作文にはパターンというか型があるんですよね。その型を知っているかいないかによって、ハードルが全く変わってきますね。このテンプレは穴埋めをしていくだけで型を使えると言うスグレモノでした。
正攻法でテンプレなしで読書感想文を書こうとすると、本を読み取る力、読み取って自分の体験と繋げて考える力、自分の考えをまとめる力、文章を書ききる力、など多くの能力を必要とします。テンプレを使って何回か書くと、自然とそういった能力もついてきそうだなと思いました。
はっきり言って私も子供の頃欲しかったな!!切実に。