私は「すてきなぼうし」を読むまで、「そらまめくんのベッド」が好きではありませんでした。でも、2作読んだことで色々と考えて、どちらも良い作品だなと思うようになりました。なので、今回はこの2作を紹介します。
作品情報
それぞれの作品について紹介します。
そらまめくんのベッド | すてきなぼうし |
なかや みわ | おばた ゆうき |
1997年 | 2019年 |
福音館書店 | 日本マクドナルド(株) |
こどものとも (年中向き) | ハッピーセットの付録 |
ストーリー
前半
前半はどちらも2作はほとんど同じです。主人公は誰とも共有したくないほど、お気に入りのぼうしやらベッドやらを持っています。周りから貸してと言われても拒否。ところが、突然そのお気に入りを無くしてしまいます。そこで、主人公は無くしてしまったお気に入りのアイテムを探しに出かけます。行く先々でみんなに聞いて回りますが見つかりません。ここまではどちらもだいたい同じです。
後半
後半はガラッと別の物語に変わっていきます。
・そらまめくんのベッド
ベッドを無くしたそらまめくんに、周りが自分のベッドを貸してあげようとします。ですが、他のまめのベッドはそらまめくんにはフィットしません。探すのを諦めかけたとき、そらまめくんはベッドを見つけました。しかし、うずらが巣の代わりに卵を置いて温めていたのです。そらまめくんはひよこが生まれるのを見守りました。その後、ベッドを探してくれたまめ友をベッドに招待しました。
・すてきなぼうし
クマくんは帽子を無くしてとても落ち込んでいました。そんなとき、周りの動物たちがクマくんの帽子を見つけてきたのですが、帽子は鳥が巣の代わりにしていました。そこで、動物たちは代わりになる鳥の巣を手作りしてくれました。それを見たクマくんはその手作りの巣を新しい帽子にすることにしました。
2作の違い
どちらも「自分の大切なものを共有できるか?」というところから始まるストーリーだと思います。私はすてきなぼうしを読むまでは、ベッドを無くしたそらまめくんに対する他のまめたちの「かしてくれなかったばつさ!」というセリフがキツくて嫌だなと思っていました。人の大切なものを借りることに対する敬意がないセリフだな、と。(こういう方いますよね。例えば、人のレポートやノートを当たり前のように軽々しく見せて、という人。私は学生の頃は生真面目なタイプで見せてと言われる側だったので、人の大切な労力を何だと思っているんだ?とよく思っていました。)
一方で、すてきなぼうしはクマくんが帽子そのものに対する執着を捨てて、周りの動物たちが作った巣を帽子として受け取ります。初めて読んだ時は「ああ、やさしい物語だな」と思いました。誰も傷つかない締めくくりですごく綺麗にまとまっているような気がしていました。
そらまめくんのベッドでは「自分の個性にフィットするものとは何か?」といった点が主題だと思います。これについて、そらまめくんのベッドではさらに踏み込んで試してみてより実感するフィット感みたいな部分まで描かれている。 それに対して、すてきなぼうしでは「相手を思いやる気持ちをどう受け取るか?」という点が気になるようになりました。クマくんがあんなに大切にしていたすてきなぼうしのために動物たちは巣を作ったのに、あっさりと「こっちがいいとは何事か?」と。確かに、作ってあげたものを喜ばれるのは嬉しいと思うでしょうが、目的がズレてますよね。。。
まとめ
初めて「すてきなぼうし」を読んだ時は「そらまめくんのベッド」とそっくりすぎて、はじめは「◯作か!?」と疑ってしまうほどでした;でも、息子にせがまれて2冊を何度も読むうちに、この2作は後半の展開が異なるとこうも違うストーリーになるんだな、と思いました。後半を知って前半を読むと前半も少し違った印象になってくると思います。。うーん、絵本は母の読解力も鍛えられますね、笑。気になる方はぜひチェックしてみてください。
(すてきなぼうしについて、我が家は親戚筋から入手しましたが今はフリマなどで入手するしか無さそうです。)